大判例

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東京高等裁判所 昭和51年(う)1882号 判決

被告人 谷口威敬

〔抄 録〕

所論は、原判決が事実認定の証拠に引用している上田嘉明作成の車両走行速度測定装置精度確認書と題する書面の謄本二通は、原審第三回公判において検察官から刑訴法三二一条三項書面として証拠調が請求され、証拠決定されたものであるが、右書面の作成者上田嘉明は同法三二一条三項所定の捜査機関ではないから、原審の右証拠調は適法でなく、この違反は、同法三七九条にいう訴訟手続に法令の違反があって判決に影響を及ぼすこと明らかな場合にあたるというのである。

そこで検討してみると、所論指摘の右書面二通が検察官から刑訴法三二一条三項の書面として証拠調が請求されたこと、ならびにその作成者上田嘉明が捜査機関でないことはいずれも記録上明らかであって、右書面が同法条三項に該当しないものであることは所論のとおりであるが、原審第三回公判調書の記載によれば、原審が右書面を右法条三項の書面に該当するものとして採用決定をしたものか否かは明らかでない一方、右書面の形式、内容および作成者上田嘉明に対する証人尋問の結果その真正に作成されたものであることが確認できることなどの諸点を総合すれば、右書面は同法条四項に該当するものと認められるので、原審の右書面の採用は、むしろ同項該当書面として決定されたものと推認することができ、かつ、この推認を左右するに足る事情(たとえば、違法な証拠決定である旨の異議の申立がされる等)は見当らないから、原審が右書面に対して証拠能力を認めて証拠決定をしたうえ、その取調をした訴訟手続には何ら法令違反はないというべきである。論旨は理由がない。

(小松 山崎 佐野)

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